精子が作られる仕組み
精子が作られる場所は精巣です。精巣の役割は2つあり、第一は精子を作ること、そしてもう一つは男性ホルモンを分泌することです。
精子はこの精巣で約70日間かけて作られます。精子は日々生産されていますので、射精の回数が多くても精子の数が減ることはありません。約70日間かけて作られた精子は、精巣から精巣上体に移動し受精のための能力を備えたのち、輸精管を通って精嚢に運ばれ射精を待ちます。
精巣が働きやすい温度
精巣は非常に血行が良く、また外傷や圧迫、温度変化に敏感で、体温より少し低い温度で最もよく働くようにできています。陰嚢が体の下にぶら下がっているのは、精巣の温度を少し下げるためです。陰嚢の温度が上がるようなきつい下着などは精巣の働きを悪くしてしまいます。逆に冷水浴などで陰嚢の温度が下がりすぎたときには、陰嚢の中の筋肉が収縮して精巣を体の中に引き上げ、精巣の温度が下がりすぎないように自動調整します。
精子の射出と寿命
精子が射出されるのは女性の腟の中ですが、腟の中はアルカリ性のため、精子はここでは長生きできません。1回の射精で1億個以上の精子が放出されますが、腟・子宮頚管・子宮・卵管まで辿り着ける精子はほんの僅かです。普段の子宮頚管にはごく少量の非常に粘性の高い液しか入っていないため、精子はここに入っていくことができません。しかし、排卵日近くの頸管の中の粘液は、精子が過ごしやすい弱アルカリ性に変化します。よって、精子が子宮の中に入ることができるのは排卵日近くだけということになります。また、卵子が受精できる期間は12時間程度に対して、射精後の精子の寿命は3日程度と言われているため、精子は卵管で排卵される卵子を待つことができます。
精子の老化
精子は幼い赤ちゃんやご高齢の方の精巣でも作られています。女性の卵子は加齢とともに老化していくことは広く知られていますが、実は精子についても、個人差はありますが老化することが言われています。また、精子は男性の生活習慣や体調、ストレスにも影響されます。不妊治療を始める際は、夫婦揃って検査を受けられることをお勧めします。