不妊の原因は母体である女性側にあると考えられがちですが、実は半数が男性因子であるといわれています。
ですので、不妊治療をはじめる際は夫婦揃って検査を受けられることをお勧めします。
男性の検査として、当クリニックでは
- 1 CASA精液検査
- 2 精子機能検査
を受けることができます。
1 CASA精液検査
精液に含まれる精子の数や運動率などを調べて、受精能力を評価します。WHO(世界保健機関)によって基準値が定められていますが、ひとつの指標であって、これより高くても妊娠しにくい場合もあれば低くても自然妊娠することもあります。
当クリニックでは、CASA(computer-assisted
sperm analysis)という装置を使用し、コンピュータで客観的にデータを解析しています。
検査の結果からご自身の精子の状態を正しく知り、不妊治療をどう進めていくかおおまかに見通すことができます。尚、結果は翌日以降の診察時にお渡しします。
WHOマニュアルによる精液所見の基準下限値(2021)
精液量 | 1.4ml |
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精子濃度 | 1,600万/ml |
総精子数 | 3,900万 |
精液量 | 1.4ml |
運動率 | 42% |
前進運動率 | 30% |
生存率 | 54% |
正常形態率 | 4% |
2 精子機能検査
精子DNAのダメージ(断片化)や酸化による精液のストレスを調べて、精子の質を評価します。男性不妊の原因のひとつとして、精子の質の低下が受精率低下や流産率上昇に影響しているといわれています。
結果が良くなかった場合は、精子の質を良くするために生活習慣を改善したり、生殖補助医療(ART)へステップアップしたりと、今後の治療方針を立てるための目安になります。
尚、検査を希望される場合は、以下3点についてご了承ください。
- 精子DNA損傷検査と抗酸化力検査のセットです。どちらか単独での検査はお受けできません。
- 精液量0.5ml以上かつ運動精子濃度40万/ml以上が必要です。基準を満たさない場合は検査できません。
- 結果が出るまで3週間ほどかかります。
精子の状態は男性の体調や精神状態に大きく影響を受けます。一度の検査で異常があっても、日を変えて検査をすればより正確な結果が得られます。
検査の結果によって、運動する良い精子を集めて子宮のなかに注入する人工授精や、1匹の精子を卵子内に針で直接注入する顕微授精など、生殖補助医療(ART)による治療を行いますのでご相談ください。
【精液をご持参いただく場合の注意事項】
- 検査の予約は不要です。持参用の容器をお渡ししますので、受付にお声かけください。
- 検体を提出いただける時間帯は平日16:00まで、土日祝12:30までです。
- 採取前に可能であれば3日以上禁欲してください。
- 採取する際は、コンドームを使用しないでください。成分が精子に悪影響を与えることがあります。
- ご持参中は20度以上37度以下に保ち、採取後3時間以内に受付にご提出ください。